通なお話 山美本「平家物語」 WEB版興福寺豆書状

 

通なお話

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第一話 鎌倉彫刻の魅力
−リアルでダイナミックな造形の秘密−

 「どの時代の仏像が好きか」と聞かれて「鎌倉時代」と答える人は多い。その鎌倉時代の仏像の魅力は、なんと言ってもそのリアルさと力強さにある。

 その代表ともいえるのが、展覧会ポスターにも使われている金剛力士像(8-1)である。力のみなぎる筋肉や浮き出た血管、ひるがえる衣の質感や、迫力のある忿怒(ふんぬ)の形相は、諸悪を打ち砕く守護神である金剛力士の性格をリアルに表現している。まさに、全身に鎌倉彫刻の魅力が凝縮されていると言ってもいい。

 この展覧会に展示される鎌倉彫刻の至宝を観察していくと、鎌倉彫刻のリアルな表現は、寄木造(よせぎづくり)という制作技法と深く関わっているのだということを実感させられる。

 寄木造は複数の材を寄せて木彫像を制作する技法である。この技法は、単に小さな材で大きな像を造ったり、分業化や量産化をはかるという、効率面の問題だけではない。鎌倉彫刻のリアルで迫力のある表現の秘密がこの技法にあったのである。

 金剛力士像の上半身は、大きく腰をひねった状態で下半身に取り付けられている。当初の計画よりも大きくひねって付けているという。さらに背面の筋肉の盛り上がりを、補材を取り付けて強調している。眼の部分は玉眼(ぎょくがん)という水晶を入れたもので、像にリアルさを持たせている。さらに、現在は失われているが、頭部には髷(まげ)が別に取り付けられていた。

 つまり、寄木造とは、あたかもプラモデルのように細かいパーツを取り付けることによって、リアルでダイナミックな形を組み立てていく技法なのだ。それは、おもちゃ屋の一角を占める某ロボットアニメのプラモデルが、細かいパーツを用いて、劇中よりもリアルに造られていることに似ている。

 それだけに、仏像を運ぶ仕事をする側にとって、これほどやりにくいことはない。仏像は接合部がもっとも壊れやすいからだ。間違って変な場所を持つと、接合部からポキンと折れてしまう。そんな冷や汗をかきながら輸送に立ち会った経験から、鎌倉彫刻のリアルさと寄木造との関係を実感した次第である。

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2005年4月12日(火)-5月22日(日) 会期中無休 山口県立美術館 753-0089 山口県山口市亀山町3-1 tel.083-925-7788 山口県立美術館